「屋根の棟板金」とは、屋根の頂点部分を覆う板金のことです。雨水の侵入を防ぎ、屋根材を固定する役割を果たしています。しかし、経年劣化によって棟板金が破損すると、雨漏りや屋根材のずれなどの原因となります。
そこで、今回は「屋根の棟板金」の役割や種類、修理方法まで徹底解説します。棟板金の知識を身につけて、大切な屋根を守りましょう。
■棟板金とは何か
屋根の頂点部分に設置される板金のことを棟板金といいます。雨水の侵入を防ぐ役割を果たしており、屋根の重要な部材です。
棟板金には、主に以下の2種類があります。
・金属製棟板金
金属製棟板金は、ステンレスやアルミなどの金属で作られた棟板金です。耐久性が高いため、10年以上もつと言われています。
金属製棟板金には、以下の2つの種類があります。
折り返し型
折り返し型は、屋根の頂点部分を覆う板金の両端を折り返して取り付けるタイプです。
波型
波型は、波状の形状をした板金を屋根の頂点部分に重ねて取り付けるタイプです。
・樹脂製棟板金
樹脂製棟板金は、FRP(繊維強化プラスチック)や塩化ビニールなどの樹脂で作られた棟板金です。軽量で加工がしやすいため、施工が容易です。
樹脂製棟板金には、以下の2つの種類があります。
押出し型
押出し型は、樹脂を型に入れて押し出して作られた板金です。
積層型
積層型は、複数の樹脂板を重ねて作られた板金です。
■棟板金の役割
棟板金は、屋根の頂点部分に設置される板金です。
様々な役割がありますのでそれぞれ見ていきましょう。
・雨水の侵入を防ぐ
屋根の頂点部分は、雨水が集中する場所です。棟板金がなければ、雨水が屋根裏や天井に浸入し、雨漏りの原因となります。
棟板金は、雨水の侵入を防ぐために、以下の機能を備えています。
屋根材と棟材の隙間を塞ぐ
屋根裏の換気口から雨水が浸入しないようにする
・屋根材の固定
棟板金は、屋根材を固定する役割も果たしています。屋根材は、風や雪の影響でずれたり、飛ばされたりすることがあります。棟板金があれば、屋根材がずれたり、飛ばされたりすることを防ぐことができます。
棟板金は、屋根材を固定するために、以下の機能を備えています。
屋根材の端を固定する
屋根材を重ね合わせる
・ 換気
棟板金は、屋根裏の換気にも役立ちます。屋根裏は、太陽の熱や湿気がこもりやすく、熱中症やシロアリの被害につながることがあります。棟板金があれば、屋根裏の換気を促進し、これらの問題を防ぐことができます。
棟板金は、屋根裏の換気のために、以下の機能を備えています。
屋根裏の換気口を保護する
屋根裏の空気を循環させる
■棟板金の寿命
棟板金の寿命は、一般的に10~15年程度と言われています。ここでは、棟板金の寿命について詳しく解説します。
・棟板金の寿命はなぜ10~15年程度なのか
棟板金の寿命は、主に以下の3つの要因によって決まります。
材質の種類
取り付け方法
環境条件
・棟板金の寿命を延ばすための方法
棟板金の寿命を延ばすために、耐久性の高い材質の棟板金を選ぶ
、しっかりと取り付ける、定期的に点検・補修を行うなどを行うことで対策することが出来ます。
耐久性の高い材質の棟板金を選ぶことで、棟板金の寿命を延ばすことができます。また、しっかりと取り付けることで、風雨や経年劣化に耐えやすくなります。さらに、定期的に点検・補修を行うことで、劣化した部分を早期に発見し、修理することができます。
・棟板金の寿命が尽きたらどうする?
棟板金の寿命が尽きたら、新しい棟板金に交換する必要があります。交換をせずに放置していると、雨漏りや屋根材のずれなどの原因となります。
棟板金の交換は、専門業者に依頼するのが一般的です。業者によって費用や工期が異なるため、複数の業者に見積もりを依頼することをおすすめします。
■棟板金の劣化症状
棟板金は経年劣化によって劣化してしまうことがあります。
棟板金の劣化症状は以下通りです。
・錆び
棟板金の劣化症状で最も多いのが錆びです。錆びが発生すると、見た目が悪くなるだけでなく、雨水が浸入する原因となります。錆びが発生する原因としては、「雨水や空気中の酸素に触れること」
「金属製の棟板金の場合、銅や亜鉛などの金属が錆びやすい」ということが挙げられます。
錆びを防ぐために、錆止め塗料を塗るや防錆加工された棟板金を選ぶことをしておくと良いです。
・穴あき
錆びや衝撃などによって、棟板金に穴が開くことがあります。穴が開くと、雨水が浸入する原因となります。穴あきが発生する原因としては、「錆びによる腐食」、「風雨による衝撃」、「屋根材の落下」があります。
定期的に点検を行い、早期発見・修理を行ったり耐久性の高い棟板金を選ぶことで対策して行きましょう
・浮き上がり
棟板金が固定されていないために、棟板金が浮き上がってしまうことがあります。浮き上がりが発生すると、雨水が浸入する原因となります。浮き上がりが発生する原因として「棟板金の取り付けが不十分」、「地震や台風などの自然災害」などがあります。
しっかりとした施工で棟板金を固定し定期的に点検を行い、浮き上がりが発生していないか確認することで対策を行うと良いです。
■棟板金の修理方法
棟板金の修理には、部分修理と全面交換の2種類があります。劣化の程度によって、適切な修理方法を選択することが大切です。修理方法は以下の二点になります。
・部分修理
棟板金の劣化が軽度な場合は、部分修理を行うことができます。部分修理は、劣化した部分だけを交換する方法です。
部分修理のメリット
費用を抑えることができる
工期が短く済む
部分修理のデメリット
再び劣化が発生する可能性がある
部分修理の手順
劣化した部分を切断する
劣化した部分を切断する際は、周囲の棟板金に傷がつかないように注意が必要です。切断は、金属用ノコギリやレザーソーなどを使用して行うことができます。
新しい棟板金を切り出して、取り付ける
新しい棟板金を切り出す際は、劣化した部分よりも少し大きめに切り出すようにしましょう。また、取り付ける際は、シーリングやコーキングでしっかりと固定するようにしましょう。
シーリングやコーキングで防水処理を行う
シーリングやコーキングで防水処理を行うことで、雨水の浸入を防ぐことができます。シーリングやコーキングは、気温が低い場合は固まりにくいため、適切な温度で作業を行うようにしましょう。
・全面交換
棟板金の劣化が全体的に進んでいる場合は、全面交換を行う必要があります。全面交換は、すべての棟板金を交換する方法です。
全面交換のメリット
劣化を完全に防ぐことができる
耐久性を向上させることができる
全面交換のデメリット
費用が高くなる
工期が長くかかる
全面交換の手順
すべての棟板金を撤去する
すべての棟板金を撤去する際は、周囲の屋根材や雨樋などに傷がつかないように注意が必要です。撤去は、ハンマーやバールなどを使用して行うことができます。
新しい棟板金を設置する
新しい棟板金を設置する際は、棟板金の種類や大きさなどをしっかりと確認してから作業を行うようにしましょう。また、取り付ける際は、シーリングやコーキングでしっかりと固定するようにしましょう。
シーリングやコーキングで防水処理を行う
シーリングやコーキングで防水処理を行うことで、雨水の浸入を防ぐことができます。シーリングやコーキングは、気温が低い場合は固まりにくいため、適切な温度で作業を行うようにしましょう。
■まとめ
棟板金は、屋根の頂点部分に設置され、雨水の侵入を防ぐ役割を果たしています。その寿命は、一般的に10~15年程度と言われていますが、経年劣化によって劣化してしまうことがあります。
棟板金の劣化症状には、錆び、穴あき、浮き上がりなどがあります。これらの劣化症状が発生すると、雨漏りや屋根材のずれなどの原因となります。
棟板金の修理には、部分修理と全面交換の2種類があります。劣化の程度によって、適切な修理方法を選択することが大切です。